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2018.2.21

GAME CHANGERS

「GAME CHANGERS」 スプライザ編Vol.3 分析係の生徒たちがスマホで振り返り スプライザのツールを活用する近江高校

近江高校
近江高校サッカー部・分析係の3人と槙島隆介コーチ(右)

日本における現存のスポーツ産業の仕組みを抜本的に変革する人や企業、サービスをゲームチェンジャーとして紹介していく新連載企画。SPLYZA編の第三回はちょっと変わってユーザーの声をお届けします。

各選手に役割を与える、近江高校の教育方針

清水エスパルスなどでプレーした元Jリーガーの前田高孝監督
清水エスパルスなどでプレーした元Jリーガーの前田高孝監督

滋賀県にある私立近江高校は2015年4月に元Jリーガーの前田高孝監督が就任。学校としてサッカー部を“強化部”に指定し、人工芝のグラウンドを作るなど環境を整備しています。2017年度は1、2年生のみのチームながら滋賀県代表として夏にはインターハイに初出場するなど着実に力をつけています。

「先につながるサッカー」を目指し、自分たちで考えられるようになるという教育方針を掲げるスタッフのもと、ピッチ外でも改革が行われました。それは96人の部員全員に何らかの役割を与えるというもの。その中で分析係になった生徒7人が主に「SPLYZA Teams」を使っています。

近江高校

具体的な活用場面は、ほぼ毎週末行われるという練習試合の分析です。試合後、槙島隆介コーチが試合の映像をツールにアップすると、分析係の7人で分担して映像に「GOOD」「シュート」や「BAD」「パス」などのタグを付けていきます。実際にスマホの画面を見せてもらったところタグの種類が無数にありましたが、すべて選手たちで決めたそうで、槙島コーチらスタッフは介入しません。新しく分析係になった選手に教えるのは経験のある選手で、特に困ったことはなくツールを使いこなしています。

2~3日で分析を終えると、サッカー部96人が全員入っているというLINEグループに連絡し、試合に出場した選手らが映像を振り返ることができるようになっています。自分のプレーだけではなく、時にはライバルとなる同ポジションの映像を見ることもあるそうです。

分析係は今年、「サッカー部全員がサッカーと向き合うことができる環境を作る」という目標を掲げています。アプリを活用し、練習以外の時間にもサッカーのことを考えてほしいというのが彼らの願いです。

槙島コーチと分析係3人の反応は?

今回は槙島コーチと分析係の佐々木星貴選手と石本臣成選手(共に2年)、田中壱京選手(1年)に話を聞きました。

槙島隆介コーチ

槙島隆介コーチ

(「SPLYZA Teams」を使ってから)サッカーのことを考える時間が長くなりましたね。それまでは映像を撮影して管理するだけでしたから。

競技にもよると思いますが、使えるのであれば(他の部でも)絶対に使ったほうがいいと思います。私も生徒を指導して2年目ですが、言葉で言うより映像で見たほうが「ここが悪い」というのが伝わりやすい。そういう文化が進んだほうが競技として絶対にいいと思います。

佐々木星貴

佐々木星貴

(「SPLYZA Teams」は)色々な機能がありますが、スマホだけで簡単に使えます。

映像を見てプレーのタグ付けをする際、チームメートのプレーを「良い」「悪い」とはっきり言わなければいけません。最初は気を使って悪いプレーを見逃すことも実はありました。でもそれをしてしまうとチームとしていい方向に向かないと思ったので、悪いプレーには悪いというタグ付けをするようになりました。

来年は選手だけで、分析係が中心になってゲームを見直したりミーティングをしたいですね。自分もサッカーの理解をこのアプリを通して深めたいし、自分がサッカーをする理由を整理したい。動画を通して成長していきたいと思います。

石本臣成

(「SPLYZA Teams」は)やり方さえ分かれば特に難しいことはなかったです。動画で自分の悪かったところを見ています。映像で周りの状況をあらためて確認すると、「こうなっていたのか」という反省があります。

前の試合で周りからミスをしたと言われたけれど、自分ではミスをしたとは思っていないのでもモヤモヤしたものがありました。でも、あとから動画を見ると自分がミスをしていたと振り返ることができました。

田中壱京

田中壱京

最初の頃はどういうプレーがいいプレーなのか判断に自信がありませんでしたが、慣れてくると分かるようになりました。自分のダメなプレーを繰り返し見ると、ダメな部分や改善点がよく分かりますね。ポジションを奪わなければいけない選手のプレーは手本にするべきなので、分析して自分と何が違うのか分かれば、自分のレベルも上がっていくのではないかと思います。

(「SPLYZA Teams」の)機能を使ってより分かりやすいビデオを作って、ミーティングとかも自分たちでやってよりよいチームを作っていけたらと思います。

(取材・文:豊田真大/スポーツナビ)