スポーツ総合サイト・スポーツナビ(スポナビ)には日々さまざまな競技の情報が集まり、多くのユーザーがニュースやコラム、試合速報などを求めてサイトにアクセスします。その膨大なデータを分析すると、スポーツを楽しむユーザーの好みや地域性などさまざまな特性が見えてきます。そのデータをスポーツ界でどう活かすべきなのでしょうか。
SAJ2019では「スポナビのデータが解き明かす『新ファンセグメント』と『未来のスポーツメディア』」と題し、スポナビのデータ活用法を議論しました。ワイズ・スポーツ株式会社 取締役COOであり、スポーツナビのサービスマネージャーを務める小用圭一氏とヤフー株式会社 可視化推進本部 スポーツナビアナリストの柳下真慧氏がスポナビの考える活用法を提示し、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 【B.LEAGUE】PRグループ・強化育成グループシニアマネージャーの増田匡彦氏と未来のスポーツメディアはどうあるべきかを考えました。
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スマホによってメディアの果たせる役割は大きく変わった
まずは小用氏がメディアの果たせる役割がこの10年で大きく変わったことを説明。以前は情報の入手経路が限られていたため、テレビなどマスメディアの影響が大きかったのですが、スマートフォンの登場によりユーザーが自分で情報を取りにいく時代になりました。スポーツ界では野球ファンは野球の情報を、サッカーファンはサッカーの情報を自ら取りにいくため、Bリーグなど競技団体がバスケファンを増やそうとしても情報を取りに来るのは既存のバスケファンばかりとなり、なかなか新規のファンにアプローチできないという課題があります。
スポナビの考える新ファンセグメントとは?
現状の競技ごとのファンセグメントではファンを増やすことが難しいという課題をどう解決するべきなのか。柳下氏によると、「どのようにスポーツファンは生まれるのか?」を考えることが重要になります。スポナビの行ったアンケートやサイトのデータを分析すると、世の中のスポーツファンは、競技を観始めたきっかけ別に6タイプに分けることができるといいます。
(1)選手のファン
(2)話題性
(3)経験者
(4)地元愛
(5)ゲーム性
(6)近親者の影響
新セグメントによって考えられるファン増加のアプローチ
スポナビの考える6タイプにファンを分類すると、さまざまなファン増加施策が新たに考えられます。講演では例として、「地元愛」からスポーツを観始めたファンであれば、プロ野球・広島カープやJリーグ・サンフレッチェ広島を応援しているファンにBリーグ・広島ドラゴンフライズの地元愛を訴求するコンテンツを見てもらえれば、新たなBリーグファンを獲得できるのではないかという仮説が挙がりました。増田氏は自身の経験した北海道日本ハムファイターズ(プロ野球)とレバンガ北海道(Bリーグ)の交流イベントの例を挙げながら地域を軸とした施策が有効であると語りました。
これからのスポーツメディアに必要なこと
最後に、増田氏は今後のスポナビに期待することとして、「これからはユーザーが情報を選択していく時代になる。いろいろなスポーツをつまみ食いできるような機能を持ってほしい」と語り、小用氏はスポーツメディアとして「ユーザーにスポーツに興味を持ってもらうきっかけをどう作るかが課題。きっかけ作りにトライしつつ、自分たちが持っているデータを各競技団体に共有しながらコンサルティング的な役割を果たすことも重要ではないか」と語り、講演を締めくくりました。