日本スポーツアナリスト協会が「スポーツ現場における映像・データ収集および分析の現状と実態の調査2022」の結果を公表
一般社団法人日本スポーツアナリスト協会(代表理事:渡辺啓太、以下JSAA)は、2022年2月1日から2月14日の期間でスポーツ選手の支援者および選手を対象とした「スポーツ現場における映像・データ収集および分析の現状と実態の調査2022」を実施しました。同調査に関する集計結果を公表致します。
トップスポーツの現場において重要性を増すアナリストの現状と実態を調査
現在、世界のトップスポーツにおいて、映像・データを収集・分析をもとにした戦略構築が勝利を左右することは珍しいことではなくなり、その役割を担うスポーツアナリスト(以下、アナリスト)の存在は重要性を増しています。昨夏の東京2020大会でも柔道日本代表チームがデータを駆使して大きな成果を上げるなど、日本においてもアナリストの存在感は高まっています。JSAAでは、選手の競技力向上を主目的とした映像・データ収集および分析、テクノロジー活用の活性化や人材育成の方向性を見直すこと、また国内における活動の実態を把握することを目的とし、アナリストの現状に関する調査を実施しました。
調査結果から、アナリストはボランティア・無償ではなく、有償の職業として確立されており、日本代表やプロを始めとするトップレベルで活躍する若い人材が多いことがわかりました。一方、アナリストの性別や年齢、関わる競技やそのレベルには偏りが見られ、今後のアナリスト業界の更なる発展に向けた課題が浮き彫りとなりました。
主な調査結果は下記の通りです。
情報戦略スタッフの70%以上が「アナリスト」を呼称
今回の調査では、競技力向上のために情報活用されている方を対象に機縁法にてオンラインアンケートを実施しました。回答者全体の22.7%となる情報戦略スタッフの実情について、探索的に調査したところ、対象となる67名のうち70.1%となる47名が「アナリスト」を呼称していることがわかりました。情報戦略を担う方々の間で「(スポーツ)アナリスト」という呼称が浸透していることが伺えます。
若い人材がアナリストとして活躍している
調査対象者のアナリストの半数以上(52.2%)が20 代という結果となり、30代も含めると、約80 %にも上ります。アナリスト以外のスポーツ現場の職業に従事する方(コーチや監督など含む。以下、その他職業)では、20代が21.5%、30代を含めても57%となっており、アナリストという職業は、若い人材が活躍している職業であると言えます。
アナリストは有償の職業として地位を確立している
選手の支援活動(あるいは選手として)への関わり方について、アナリストの76.1%が職業として関わっていると回答しました。無償・ボランティアとして活動している人は9.0%にとどまっており、アナリストが有償の職業として確立しているといえます。
アナリストの多くはトップレベルの選手を担当している
アナリストが担当あるいは実施している選手およびチームの競技レベルについて複数回答可で質問をしたところ、アナリストの66.7%がプロレベルの選手を担当しており、日本代表および国際レベルを担当しているアナリストは36.4%となりました。その他の職業と比較しても、アナリストはプロレベル以上を担当している割合が高いことがわかります。
上記の通り、その他職業に比べて、若いうちからトップレベルで活躍する機会がある職業であることが示された一方で、様々な課題も浮き彫りになっています。
例えば、その他職業と同様に、アナリストは男性の割合が高く(男性:86.6%、女性13.4%)、担当競技も、サッカー、バレーボール、野球、バスケットボールやラグビーなど、特定の競技に集中しています。今後、アナリストという職業を更に発展させていくためには、性別に関わらず、多くのアナリストが様々な競技やレベルで活躍できるよう、アナリストの裾野を広げていく必要があるでしょう。
今回の調査において、スポーツ現場におけるアナリスト像や直面する課題の一端が明らかとなり、その現状と実態を知る上でJSAAとしても貴重な調査となりました。一方、短期間での機縁法による調査となったため、調査結果にはある程度の偏りが生じている可能性があります。そのため、JSAAは今後も、調査対象や手法を更に精査し、継続的に調査を進めていきます。調査によって得られた知見は、アナリストの育成に活用し、アスリート支援環境を発展させることで、スポーツの社会的価値向上に寄与していきます。
一般社団法人日本スポーツアナリスト協会 -「スポーツ現場における映像・データ収集および分析の現状と実像の調査」ダウンロードは以下より。
ダウンロード▶︎ JSAA_スポーツ現場における映像・データ収集および分析の現状と実態の調査
調査概要
- 調査時期: 2022年2月1日~2022年2月14日
- 調査対象:スポーツ現場において、選手競技力向上ために映像・データ収集・分析、 スポーツアナリティクスやテクノロジーを活用されている方 (コーチ、教員、トレーナー、アナリストなど)
- 調査主体:一般社団法人 日本スポーツアナリスト協会 調査・研究委員会
- 調査方法: Googleフォームを使用し、 SNSなど通じた機縁法により対象者へ配布
- 回答数: 295件
調査・研究委員会: 鈴江 智彦、高林 諒一、永野 智久、橋場 智子、久永 啓、廣澤 聖士、千葉 洋平 外部協力者 (下関 元)
日本スポーツアナリスト協会(JSAA)について
日本スポーツアナリスト協会は、競技の枠組みを超えたスポーツアナリストの連携強化及び促進を図る団体として、2014 年 6 月に設立されました。スポーツアナリストの有する職 能を理解し、育むことで、アスリート支援環境を発展させ、スポーツの社会的価値向上に 寄与することを目的としています。ビッグデータの時代、スポーツ界にも必ず必要となる 有能なアナリスト人材の確保・育成にも取り組み、またスポーツアナリストとしての職域 拡大を目指します。
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