2016年12月17日(土)に開催されたSAJ2016-スポーツアナリティクスジャパン2016。完売御礼となったSAJ2016では、2020年以降の日本スポーツ界を考えるべく「BEYOND 2020」という大きなコンセプトのもと、25名を超えるスピーカーの方々と共に、様々な角度からテクノロジーとアナリティクスで拡がる日本スポーツ界の可能性を考えた。
SAJ2016はスポーツ庁鈴木大地長官の基調講演で幕を開けた。鈴木長官は「大勢の人がいらっしゃっていますが、皆さんのような方がこれからスポーツを扱いながら仕事をすれば、もっとスポーツ界が盛り上がっていく」と、スポーツ界そしてSAJ2016への期待を込めた言葉から語り始め、テクノロジーとアナリティクスで拡がるスポーツの可能性について講演。
20分という限られた時間ではあったが、2015年10月に設置されたスポーツ庁の組織概要から、取り組むミッション、そして鈴木プランにも綴られている競技力強化のための今後の方針について語った。
スポーツ庁が取り組むミッションは大きく5つに分けられているが、そのうち、スポーツによる健康増進、我が国の国際競技力の向上、そしてスポーツによる地域・経済の活性化を中心に紹介された。特に競技力向上にはハイパフォーマンスセンターを中心に、鈴木プランで掲げられているアスリート発掘や女性アスリートの強化、そして2020年以降の次世代への継続のためにはデータを習得していくことは欠かせられないことが強調された。
2016年には、スポーツの成長産業化が初めて「日本再興戦略」に含まれたこともあり、国全体でもスポーツ業界に対する期待が拡大している。SAJ2016でもメインテーマとして掲げた「BEYOND 2020」のためにスポーツによる経済の活性化にはテクノロジーが必要不可欠なものとなっている。鈴木長官も自ら視察したというNFLスーパーボウルという海外事例を出し、どんな顧客をも満足させることができるスポーツ×ITの今後の大きな可能性について期待を寄せた。
VRが生み出す現実と仮想を体験できる空間やこれまで取得することが容易ではなかったデータなどは、ITによって今後はより一般的に消費されるものとなっていくことだろう。テクノロジーの進歩によってスポーツの世界が変わってくる。そのためには鈴木長官も指摘した「蛸壺化」されているスポーツ界に、このSAJ2016に参加されたような異業種の方々が参入できる仕組みを作っていくことの重要性を改めて感じた。