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2021.2.10

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【SAJ2021レポート】スポーツアナリティクス×教育の新しいカタチ~コロナ禍の授業(スポーツ実技等)はどう変化していくべきか?~

2020年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、大学授業の多くがオンラインとなり、実習・演習を伴う授業、特にスポーツ関連の実技科目では今までどおりに行えない難しさが生じています。本セッションでは、大学の実践授業のあり方を「映像分析」という観点で新たな手法での授業展開を実践した日本大学文理学部体育学科の大嶽真人氏と、同大学に「SPLYZA Teams」の提供を推し進め、変革を目の当たりにした株式会社SPLYZAの外山達哉氏に登壇していただきました。大学教員でもあるJSAA代表理事の渡辺啓太氏がモデレーターを務め、共にコロナ禍の授業(スポーツ実技等)はどう変化していくべきかを議論しました。

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コロナ禍における教育の変化

教員目線で感じたオンライン授業のメリットとデメリット

コロナ禍では大学の授業もオンライン開催が普及しましたが、一方でオンラインの限界を感じることも多くあるといいます。特に、体育の授業をどうオンラインで行うのか。頭を悩ませた教育者の方も多いのではないでしょうか。

大嶽氏は、オンライン授業について「繰り返し視聴で復習ができる」「記録が残るので状況が把握しやすい¥などのメリットはあるものの、「学生の反応が見えにくい」「学生同士のコミュニケーションの難しさ」などのデメリットを感じたそうです。特に、新入生は大学生活のリズムをつかめないままオンラインに対応する必要に迫られたため、適応の難しさがあったといいます。

「SPLYZA Teams」を用いた授業とは?

そんな難しい状況の中、日本大学では「SPLYZA Teams」を使って授業を工夫したそうです。「SPLYZA Teams」について、外山氏が概要を説明。「SPLYZA Teams」は現在、高校の部活動を中心に約460チームが導入しており、日本大学では「授業受講者のみが閲覧・編集できる限定的なSNS」のような形で使用しました。撮影した映像を授業受講者たちでシェアすると、各自が映像内に図形や字幕の書き込みや自由なタグ(チャプター)作りができます。

「SPLYZA Teams」を用いた授業のサイクル

大嶽氏は、2020年の後期から「SPLYZA Teams」を授業に導入。サッカーの「オフザボールの動き」をテーマに、「オンライン授業で事前学習」「実践授業を撮影」「学生たちが自ら課題を復習」「オンライン授業で事学習」というサイクルを回しました。「SPLYZA Teams」を用いることで、学生たちが考えていることを文章や図示して可視化できるようになったため、理解度を以前より把握できるようになりました。

外山氏も実際に授業を訪れた際、映像を撮影されることで学生たちの緊張感が増し、どうすればよいか自主的に考えたり、大嶽氏の元に質問に訪れる機会が増えているように感じたそうです。外山氏は大学の授業の他にも、医療関係の現場から問い合わせがあったといいます。「実技を伴う現場には役立てることがあるのではないか」と、今後のさらなる可能性に言及しました。

大学授業はどう変化していくべきか?

大嶽氏(下)は振り返る仕組み作りの重症性を語った

最後のテーマは「大学授業(スポーツ実技・演習科目)はどう変化していくべきか?」。大嶽氏は「これまでの実技をやることだけでなく、振り返る仕組み作りや分析能力も重要になってくる。そのスポーツの経験者だけが目立つ授業の形から、誰もがそのスポーツを理解できるようになる方向に変わってくる」と見解を述べました。

外山氏は「映像が身近に使える世の中になった。自分たちのプレーについて、頭の中に残ったものだけを頼りにするのではなく、映像を通して客観的に振り返る。そして映像に対して言語化できるようになることは、様々な場面で役に立つのではないか。そういった場面でSPLYZA Teamsが少しでも役に立てばうれしい」と総括。今後、「SPLYZA Teams」のような分析ツールがどのように普及していくのか。期待を抱かせるセッションとなりました。

JSAAではSAJ2021のアーカイブ映像を2/28まで公開しています。

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