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2022.6.30

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【SAJ2022レポート】市民ランナー高速化プロジェクト

2022年3月26日(土)CIC Tokyoにて開催されたSAJ2022のセッションレポートをお届けします。今回はANALYTICS TRACKで行われた『市民ランナー高速化プロジェクト』を振り返ります。

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少しでも速く走りたい。次の大会でいい成績を残したい。そんな想いを胸に秘めつつ、仕事を続けながらコツコツと練習を重ねる”市民ランナー”の自己実現を科学でサポートする竹澤健介氏と九鬼靖太氏。データを用いて市民ランナーを進化させる近未来型ランニングサポートとは何か。なぜこうした活動をスタートさせたのかなど、お二人の活動について語っていただきました。

セッション聴講者には早大で竹澤健介氏の後輩に当たる斎藤佑樹氏の姿も見られた

 

竹澤氏は、自身が経験してきたトップアスリート向けのトレーニング方法を応用し、競技力向上を目指す市民ランナーをサポートできないかと考え、九鬼氏と共に『市民ランナー高速化プロジェクト』を立ち上げ、活動を続けてきました。

データを用いたトレーニングを市民ランナーへ提供するきっかけとなったのが、竹澤氏と一人の市民ランナーとの出会いでした。この方は、走ることに熱い想いを持っており、竹澤氏に個別指導を仰ぎました。竹澤氏はその想いに応え、指導を続けてきましたが、なかなか結果に結び付かなかったと言います。そこで九鬼氏に相談したところ、データの測定を提案されました。

トップアスリートのトレーニング方法を市民ランナーに応用した竹澤健介氏

 

運動生理学の観点から、ランニングにおいて重要なデータは最大酸素摂取量と乳酸作業閾値であると九鬼氏は言います。竹澤氏からはこの相反する二つの要素をどう向上させるか、自身の現役時代の経験を踏まえた説明がありました。竹澤氏の指導する市民ランナーのデータを測定し、トレーニングを大幅に変えたところ、数値の上でもランナー本人の実感としてもパフォーマンスの改善が見られたといいます。

このようにデータ測定と適切な指導により市民ランナーの高速化が実現できる一方、測定の機器は高額で、サービスとして多くの市民ランナーに適用することは難しいのが現状であると九鬼氏は課題提起します。

市民ランナーへのサービス提供の課題を提起する九鬼靖太氏

 

九鬼氏はセッションの最後に、「今後もデータと科学を絡めて自分たちにしかできないことをやっていきたい」と意気込みを語りました。竹澤氏は「トップアスリートが使っている言葉が市民ランナーでも共通言語になっていけば、トップアスリートの凄さもわかってもらえる。一緒に議論して、どうパフォーマンスを伸ばせるか議論できる場を作っていきたい」と締めくくりました。データを活用して共通言語を浸透させることが、トレーニングの改善、パフォーマンスの向上に繋がるという可能性を大いに感じるセッションでした。

セッション終了後、モデレーターの西原雄一氏(左)と竹澤氏(中央)、九鬼氏(右)