2015年1月6日から9日、米国・ラスベガスにて開催された世界最大の家電の祭典『Consumer Electronics Show (CES)』。そのCES2015には、スポーツに関連する最新テクノロジーやプロダクトも数多く出展された。IT系メディアで取り上げられている情報をピックアップし、今年のCES2015におけるスポーツテクノロジーのトレンドを追ってみよう。
【隆盛を極めるスポーツ系ガジェット】
まずCES2015でスポーツ業界を賑わせたのは日本のCerevo社が出展した「XON SNOW-1」。米国オンラインメディア「Digital Trend」のTop Tech of CES awardのSports & Fitness部門を受賞した同製品は同メディアから「スノーボーディングを解析する技術は決して新しいアイデアではないが、Cerevoはユニークで全く違った手法でそこにアプローチした。それが私たちが彼らを今年のスポーツ&フィットネス部門のトップにピックアップした理由だ。」という評価を受けた。バインディングに自然な姿で内蔵されながらもハイスペックな機能を持つことが評価されたようだ。
“Using tech to capture snowboarding analytics definitely isn’t a new idea, but Cerevo has approached it in a unique and different way, which is why we picked them as this year’s winner for the Sports & Fitness category. “
Digital Trends Top Tech of CES 2015 Award Winners 『Digital Trend』- January 8, 2015
米国オンラインメディア「engaget」がHealth & Fitness部門に選んだのはBragi社が出展したワイアレスヘッドフォン「The Dash」。フィットネストラッキングとパーソナルトレーナーが内蔵されている他、それ自体がメディアプレーヤーでありハートレートモニターも付いている。たった2つの小さなイヤホンに多くのテクノロジーが詰まっている。一般ランナーにとってもジョギングの共になってくれそうだ。
Presenting the Best of CES 2015 winners! 『engaget』- January 8, 2015
さて、この他にもスポーツ系ガジェットは隆盛を極めている。米国オンラインメディア「GeekWire」で取り上げられたのは、米国InfoMotion社が開発したセンサー搭載バスケットボール「94Fifty」。見た目は至って普通のバスケットボールがジャンプショットのコーチングをしてくれる。
ボールの回転、加速度などを内蔵したセンサーが読み取りデータ解析、ブルートゥースを通したフィードバックなど機能は多岐にわたる。最もプレーヤーの役に立つのは、シュートの放物線の角度だそうだ。InfoMotion社によればその角度は42°〜48°が理想的でヘッドフォンを通して音声でもフィードバックをしてくれる。この他にもバックスピン、リリーススピード、ドリブル強度なども計測可能。バスケットボールの自主トレに効果を発揮しそう。
This sensor-laden ‘smart’ basketball helps you jump shots like the pros 『GeekWire』 – January 8, 2015
【大企業の挑戦】
GeekWireは「カメラ、センサー、アナリティクスがいかにスポーツ中継に変化を与えるか」という見出しでCES2015にて巨大ブースを設営したパナソニック社を紹介した。パナソニック社は昨年末に公表したSAP社との提携によって開発されたスポーツアナリティクスのシステムを公開。サッカースタジアムに4台のカメラを設置し、64:9のパノラマ撮影を実施する計画だ。これらのカメラによってフィールド上の全選手のデータをリアルタイムでトラッキングすることが出来るだけでなく、SAP社の解析技術によって詳細なデータ解析も可能となった。ブース内ではワールドカップブラジル大会のドイツvsイタリア戦をモデルケースとして、閲覧が可能となった。「第一のターゲットはリーグとチーム。例えばコーチやトレーナーは映像とデータをハーフタイム時に分析し試合中に修正をかけることが可能になる。」とSAP社のElena Vavitsa氏はいう。即時フィードバックによって、ハーフタイムでの修正にも効果向上にも期待がかかる。しかし可能性はそこに留まらず、このシステムから得られる情報が広まれば、スポーツ中継をも変える可能性があり充実したテレビ放送への転用も期待される。
“The initial target market for the technology is sports teams and leagues. Coaches and trainers could analyze the video and data at halftime and make adjustments during a game.”
How cameras, sensors and analytics will change live sports broadcasts 『GeekWire』 – January 9, 2015
また、SONYはウェアラブルを中心とした携帯端末周辺機器を「スマートウェア」と呼びCES2015ではメガネやゴーグルなどに装着する「SmartEyeglass Attach」そして防水性を備えたオーディオセット「Smart B-Trainer」のプロトタイプを発表。SONYもスマートウォッチ以外でのウェアラブル端末に挑む。そして『WIRED』が選ぶTop Picks From CES 2015には「4K Action Cam」が入った。
PHOTO BY JOSH VALCARCEL/WIRED
Surfers and daredevils aren’t the only ones who love tiny POV cameras. Drone pilots love them, too. They’re light, weatherproof, and durable, and the latest models can capture 4K video. Sony’s newest 4K Action Cam goes one step further to appease the drone crowd: its unique image stabilization engine is tuned to mitigate high-frequency motor vibration and “Drone shake.
(小さなPOVカメラ(主観カメラ)を愛するのは、サーファーや命知らずたちだけではない。ドローンパイロットも、同じくPOVカメラを愛している。軽量で防水性を備え、丈夫なうえに、最新のものだと4K映像も撮影できる。ソニーの新しい「4K Action Cam」は、ドローン撮影のために、さらに進化している。「Drone shake」、つまりドローンのブレを軽減するためのスタビライザーを備えているのだ。抄訳: Wired.jpより)
WIRED’s Top Picks From CES 2015 『WIRED』 – January 9, 2015
【まとめ】
CES 2015でもウェアラブル端末とIoTのトレンドは加速しているようだ。プレーヤーの動作解析し、ログを残し、統計を出すというのが一連の流れか。多種多様なウェアラブルが開発される中で、多く複雑な動作を伴いウェアラブルとの相性抜群、且つ訴求効果の高いスポーツがショーケースとなっているのは間違いなく、これもトレンドとなっている。スポーツが新たなイノベーションを呼び、社会にインパクトを齎すテクノロジーに貢献する日が来ることに期待したい。
(小倉 大地雄)