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2019.1.2

イベント

千葉洋平理事が語るSAJの魅力「来場者が期待感を抱き、勇気付けられる場にしたい」

日本スポーツアナリスト協会(JSAA)は2019年1月26日(土)にSAJ2019-スポーツアナリティクスジャパン2019-を開催します。SAJはJSAAの年次カンファレンスとして2014年に産声を上げ、SAJ2019で5回目を迎えます。

そこで今回はJSAAの理事に過去4回を振り返りながらSAJの魅力を語ってもらいました。第2弾はフェンシングナショナルチームアナリスト、日本テニス協会強化・情報委員として活動している千葉洋平理事に話を聞きました。

過去最多となる約600名に参加していただいたSAJ2017の様子

SAJで学んだこと・得られたものは「人とのつながり」

―千葉理事がアナリストとしてSAJで学んだこと・得られたものを教えてください。

1番は人とのつながりです。登壇者、スポンサー様、実行委員会のメンバーや参加者の皆様と一緒にイベントを作っていくなかでその人の思いを知り、つながりができたことが一番大きいと思います。アナリストとしては、普段とは違う競技のアナリストの分析手法を聞くのはやはり勉強になりますね。

私は主にフェンシングのアナリストをしているので、分析するのは1対1の試合になります。サッカーやラグビーといったチームスポーツの話では戦術やフォーメーションなどを分析していますし、スピードの変化や走行距離といったトラッキングデータも活用していて先進的で多面的だなと思いました。分析結果をどう捉え、組織として伝えているのかという話を聞けたのは勉強になりましたね。

前・卓球女子日本代表監督の村上恭和氏(右から2番目)ら現場の話を聞くことで、「アナリストの方々を勇気付けられる」と千葉理事は語る

―過去のSAJに来場してくださった周りのアナリストの反応や感想は?

すごくポジティブです。SAJではパフォーマンス分析の現場の話をたくさん聞くことができますし、アナリストの皆さんはデータをどう解釈したらいいのか、自分たちがやっていることをどこまで信じることができるのかというところで苦労されているという話を聞きます。

私たちはSAJ以外にも種目間勉強会を開催してナレッジを共有していますけれど、実際に現場に入るとどうしても孤独になりがちです。普段は自分たちがやっていることの評価であったり、効果を検証することがなかなかできていなかったりしますから。

そもそもどういう指標に注目すればいいのかという参考になったという話も聞いていますし、アナリストの方々を勇気付けられる場という側面もあると思います。

千葉理事の印象に残ったSAJのセッション

井上康生氏(右)はSAJ2016に登壇し、柔道におけるデータ活用の現状を語った

―過去のSAJで千葉理事の印象に残ったセッションは?

まずはSAJ2016で全日本柔道監督の井上康生氏に登壇していただいたセッション『柔道ニッポン復活への道標-データの活用と勝負の分かれ目-』はインパクトがありましたね。

井上監督はコーチとして非常に考え方が柔軟で、他競技から情報を積極的に取り入れる姿勢が印象的でした。さらに取り入れる情報の“軸”みたいなものをしっかりとお持ちで、柔道で勝つためには何をしなければいけないのかが明確になっていました。

フィジカルや戦術面だけではなく、コンディショニングに非常に気を使われていたのも印象に残りましたね。さらに人に説明するときも主観ではなく、データなどの客観的な情報を交えて共有しようとしていました。

あとはコーチだけに任せるのではなく、科学者や栄養スタッフ、コンディショニングスタッフなどの意見を取り入れて、正しい方向に進んでいるのかをしっかり検証しながらやっていることがすごく参考になりました。

SAJ2015にはラグビーワールドカップで活躍した日本代表のアナリスト中島正太氏が登壇した

SAJ2015ではラグビー日本代表のアナリストをされていた中島正太氏の『トップスポーツのアナリティクス活用事例-エディージャパン4年間の軌跡』というセッション。中島氏のやっていることは緻密で、KPI(key performance indicatorの略、重要な評価指標)を決めるのがうまいと思いました。

セッションでは「選手は倒れてから3秒以内にリロードする」という指標があったのですが、これはただプレーデータを取っているだけでは評価できないところです。それが自分たちの守備陣形を再構築するために重要な指標になるということを理解していたからこそ着目できたポイントだと思います。勝利のために何をしなければならないのか、という指標の作り方はすごく参考になりました。

SAJ2017に登壇し、ラグビーのコンディショニングについて説明する太田千尋氏

―アナリストの分析セッションだけではなく、他のセッションから学ぶこともありましたか?

例えば、SAJ2017では慶應義塾大学ラグビー部のS&Cディレクターでラグビー日本代表・サンウルブスS&Cコーチを務める太田千尋氏に登壇していただいた『ラグビー界で進むコンディショニングのデータ活用 ~トップチームから小学生の特別授業まで~』というセッションがありました。

ラグビーという競技の中でどうしても体格で劣る日本人がどうやって海外の選手に勝っていくのかを考えていて、フィジカルで負けているという事実から逃げずに、綿密に計画を立ててトレーニングに活かしていたのが面白かったです。何より「自分の状態を知る」ということから始めていくところは非常に大切だなと思いましたね。

SAJ2014に登壇した馬場氏。SAJのセッションは様々な視点で講演が行われる

他にもSAJ2014には現在パナソニックのビジネスイノベーション本部本部長を務める馬場渉氏にも登壇していただいています。アナリティクスの活用でコストを抑えながら資源をどう投入していって最大化していくのか、というようなセッションだったのですが、スポーツも限られた資源の中で何をすることが成果を最大化することにつながるのかというシンプルな構造になっているので、経営的な視点でのお話も参考になりますね。

皆さんが行動を起こしたくなるようなカンファレンスに

千葉理事はSAJ2019について「期待感を抱き、勇気付けられるようなカンファレンスにできたら」と語る

―SAJ2019に期待することは?

今年の基調講演には川淵三郎氏に登壇していただきますので、SAJ2019のテーマである「Innovation in Action」を体現されている方の話を聞くことができるというのはまず期待ですね。

スポーツ界の今後を考えたとき、2020年の東京五輪・パラリンピック以降のスポーツのあり方をもう一度捉え直すことから始まるのかなと思っています。なので、スポーツ界の構造そのものを変えていかないといけないのではないかという私たちの思いが、各セッションから滲み出ている気がします。

SAJは“尖(とが)る”ということを意識していて、私たちのキーワードになっています。他では聞けない内容にするというのはもちろんですが、これから僕らにとって重要になると思うこと、スタンダードではないかもしれないけれど、新しい課題意識みたいなものを感じてもらえればと思います。

ご来場いただいた皆さんが行動を起こしたくなるような、期待感を抱き、勇気付けられるようなカンファレンスにできたらと思っています。

(インタビュアー:豊田真大/スポーツナビ)

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JSAAでは現役スポーツアナリストも多く集まる日本唯一のスポーツアナリティクスカンファレンス「SAJ2019」を2019年1月26日(土)に開催致します。ご興味ある方は是非こちらをチェック!